1999年3月29日
またこれ分厚い4連続。宮部さんのハードカヴァーを、思わず買ってしまった。さて、直木賞のお手を拝見、と行きたかったところだが、どうも……。この本はどんどん進めなかった。 なぜなのだろう。多くの視点からものを語ろうとするその文体か。と考えていたのだが、やっぱりこの本には違和感があるのだ。「多くの視点」と言っても、登場人物への「インタビュー」というかたちになっているので視点は一つなのだが、その視点が、話の最初には一定でないのだ。
読み進めるウチに、突然インタビュー形式になる、ように感じる。最初からインタビューだと思って読めばそうではないのだが、最初から1人称の形式の根本が一定になっていないのだ。 これが、まず「行き当たりばったり」的に見えてしまった。また、その最初の文体のほうが良かったため、さらにその印象は大きい。ありきたりな話になってしまっている。
すこし子細に過ぎるインタビュー記事は、そのインタビューした相手のディティールを形作ることに貢献しているが、「で、なに?」と言ってしまいそうになる。話が事細かすぎるのだ。そこまで事細かくする必要はあるのだろうか……。 とりあえず、もうすこしシェイプアップしたらもっと良い作品になると思うのに、ちょっと宮部さんやりすぎ?と思った作品だった。「火車」の方が良いと思うよ。これ。
最終更新時間:2004年10月20日 20時41分44秒