2000年10月30日
たとえば「負ける」「落ちる」とか、ネガティブなことを言葉に出すとそれが現実になるよ、という話がある。実際、私も文章を書くときに、言の葉の「言霊」というのを気にすることがある。私自身はそれを信じているし、そういうネガティブな言葉を扱う時には気をつけようと思うことが多い。
逆に、楽しいことや嬉しいことを考えたり、わくわくしたり将来を明るく考えたり、というのは気分を明るくさせるし、なによりもそれを考えていないと実現しないような気がする。
文章、単語、活字の一つ一つまでもが、「希望」にあふれている。世界はホントはそんなに捨てたモノではない。頑張ればなんとかなるんだよ、と。
この本には、そういう文章が収められている。
穿った見方をすれば、単なる夢物語を書いているのかもしれない。読む人によっては、その「希望」が気に障ることがあるかもしれない。だが、私はこれを読んでいくにつれ、その「希望」「想い」にしっかりと感染した。
同じ題材でも、文章が下手なら想いを伝える事はかなわない。やはり、浅田次郎の卓越した文章がそれを支えているのだと思う。
この人の文章は上手い。
活字という媒体を通して、そういう「希望」を読者に伝えること。読者の気持ちまで変えてしまう文章を作ることが出来ること。どこか別の世界へつれて行ってくれること。
そういう魔法があるからこそ私は本を読むのだろうし、これからも、読みつづけることだろう。
最終更新時間:2004年10月25日 21時11分42秒