1999年2月25日
短編集。「変わってしまった」時代に否応なしに翻弄された人々を描いた作品である。時代、というのは、バブル期から現代に続く今のことだ。
確かにバブル期から見ると今は不況だと思う。でももっと以前から見ると、いまでも十分豊かな暮らしがあると思う。まだバブル期に染みついた生活を捨てきれない人は沢山居るのだ。そういう人たち(自分も含め……)を見るのは、とても滑稽であり、とても寂しいキモチになり、やりきれない思いにさせられる。それをこの短編集でも沢山見ることができる。たとえそれが滑稽であっても、当人は本当に真剣なのだ。誰もそれを笑うことは出来ない。誰しもがそれは通るであろう道だから……。
それをこの作品では淡々と描く。自分のイヤな一面を見させられたような気分に、なる。
最終更新時間:2004年10月20日 20時54分55秒