レディ・ジョーカー

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著者

高村薫

読んだ日

1999年4月2日

徒然

 去年の入院中に、お見舞いとして買ってきてもらった本である。入院中に読み進めようと思いつつ、最初の数ページで他の本に移ってしまったという体たらく。恥ずかしい限りである。ということで1年がかり?での読了。

 まず「レディー・ジョーカー」(以下 LJ )を読む前には、「マークスの山」「照柿」を読んでおかなければならないようである。「LJ」に出てくる合田刑事のデティールをよりよく掴むにはその方が良さそうだ。たしかに「LJ」だけだと合田刑事の性格はよくわからないところがある。

 とにかく「LJ」はハードカヴァー2冊組、文章も2段組という大長編である。読み始めてからでもかなりの時間がかかってしまった。構成としては事件に関わる当事者達の視点で事件を立体的に映し出す構造。宮部さんの「理由」よりは構成としてちゃんと成り立っている。

 たしかにとても饒舌である。解説に行数ページ数を割きすぎるきらいはある。でもすべてをちゃんとちゃんと読んでいけば、おのずと「事件」自体のデティールが浮かび上がってくる。その手腕はさすがというしかない。

 当事者の視点に感情移入していくと、後半でとても衝撃的だ。また悲しさと空しさが胸を占める。毎回ながらこの高村さんの手にはまりっぱなしだ。でも、合田刑事のこころの移り変わりには半分同意できるが、どうしても半分同意できない部分がある。それは女性である高村さんがそこまで書ききれていないのか、もしくはわたしにそういう性癖がないからなのか……。

 という「そういう」とか「そんな」とかネタバレしないように指示語ばかりだと言いにくいことこの上ないので、是非、読んで「うんうん」と思ってくれれば幸いだ。

最終更新時間:2004年10月20日 20時44分50秒