チグリスとユーフラテス

トップ 差分 一覧 Farm ソース 検索 ヘルプ RSS ログイン

著者

新井素子

読んだ日

1999年6月15日

徒然

さて。読み始めてから1ヶ月ほど。寝る前の「就眠儀式」用として読み始め、やっとこさ読み終わった。結構な充足感がある。久々の新井さんの新作。それも久々の「SF」。

ところで話は変わるが、私にはいままで「第1期」「第2期」「第3期」と読書をする「波」があった。読まない期間と読む期間。「第1期」は子供の頃、中学校にはいるまで。「第2期」は高校生のとき。「第3期」は大学から現在まで。

その「第2期」に突入するきっかけになったのが、実を言うと新井さんの小説なのである。通学電車の中で読む本として、本屋で手に取ったのが ハヤカワ文庫「絶句」上・下 だった。{{br}}
いままでの想像をくつがえす構成。独特の文体。読み終わったときの悲しみ。脱力感。感動。なぜそこまで自分を引きつけたのかわからないが、そこから新井さんの本は読みあさったし、関係する本もかなり読みあさった。この頃は「SF」結構読んでいたし、それでいろいろな作者も知った。{{br}}
ということもあり、新井さんにはやっぱりそういうセンチメントな期待もあり、寡作ながら新作が出るたびに読んできた。それが突然の単行本である。読まずにはおれまい(小説すばるには連載されていたらしいが知らなかった)。

読み始めて、この独特な文体が、自分に合わなくなっていることに気が付いた。自分が成長したからか? いや、歳をとったからか。なんにせよ、その文章に「ノって」いけなかった。

4章だてなのだが、それが前半2章ほど続き、突然気にならなくなった。どう贔屓目に見ても、「これはちょっと変だわな……」っていうような人物造形もあるのだが、それを小説の筋が押し流した格好。そのまま怒濤のように最後まで読み終わった。{{br}}
感動、というのだろうか。ほどよい脱力感。やっぱり新井素子は新井素子だったのだ、という当たり前の認識を繰り返し、そのままあとがきへ。そこには、新井さんがずっと昔から使っている最後の文章が書かれてあり……。{{br}}
突然、ぞわぞわっ。そこで昔のことが思い出された。高校時代に読んだ本。新井さんが造形した他の登場人物達。小説たち。まさに、最後になって新井さんワールド(それもパラレル)に引き込まれてしまった。しばし呆然としてしまった。

なんなのだろう。この感じは。小説自体の「チカラ」もあるのだろうが、これだけの世界を作ることの出来る「筆力」、なんにせよ、読者を翻弄してしまうそのチカラ。小説の出来不出来よりはこの際関係なく、ちょっと翻弄されてしまった。多分、次作も読んでしまうのだろうな……。

最終更新時間:2004年10月22日 22時58分47秒