谷村志穂
1998年10月14日
「切ない」という感情を書かせたらこの人に並ぶ人はいないのじゃないか。それほど「切ない」という感情をあらわすのが上手いと思う。最初の軽い文章から、徐々に内容が重く切なくなっていく、そのさりげない絶妙さが谷村さんの持ち味であるのだろう。見た目が滑稽なだけにその裏にある切実な想いがひしひしと伝わる。すこし人物描写に甘いところもあるが、ステレオタイプな人物造形を意識しているのならこの手は成功しているのかも。
とにかく、その「切ない」想いが自分自身のこととして考えさせられる作だった。
最終更新時間:2004年10月20日 20時52分06秒