{{amazon 4120030539}} !著者 池澤夏樹 !読んだ日 2001年5月 !徒然 読売新聞に連載されていた。どうしても新聞連載というのは1日空いたりしてしまうので、連載中は読みたい欲求を抑えていた。 その当時から、どうやらいままでに無い構成の小説だというのは思っていたのだが、今回単行本にまとめられたものを読むと、それがよくわかる。 文中には、作中人物だけではなく「作者」も登場する。もちろん、作中の作者というのは「神」であるのでその介入が作品を台無しにしてしまうことも多い。だがこの作品はその構成が成功している。連載していくうえでの作品への不安や、その時々の状況が作者からの提示され、連載小説特有の同時性がよくあらわれている。これはこれで良いものだ。 風力発電をネパールの奥地に設置する、技術者とその家族の物語。ときに技術者と技術者でない者とは分けられることが多いが、この主人公はその奥さんの協力もあって、技術者でも「技術至上主義」に陥らないその姿勢が好きだ。私もそういう技術者でありたい。 どうやらこの作品で、池澤さんはまた一歩先へ進んだようだ。内容にすごくそれが現れている。今の自分にとって、これからの自分にとって、指標となる本だった。これからもまた読み返すだろうし、読み返すべき本だと思う。 {{category 書名,nolink}} //「書名」のままおいてておく。 {{category 池澤夏樹,nolink}}